
こんにちは、てつやまです。
今日紹介する1冊はこちら
『発達障害「不可解な行動」には理由がある』岩波明

本書は、「発達障害の人たちの行動を理解したい」と願う人向け書籍。
発達障害の人たちの一見不可解な言動の「理由」や「原因」、そして「対応策」を解説した本。

なんでこの本を読んだの?

私自身、広汎性発達障害と診断を受け、生きづらさを感じています。
「聞いているようで聞いてないよね」との評価を貰っていた私ですが、
周囲からみて「不可解な行動」にも理由があることを、
タイトルで表現している本作に興味を持ったため、読んでみたくなりました。
本の内容で大事な3つのポイント
①「親の育て方のせい」は誤り
②「不可解な行動」の理由
③「当事者の本音」が分らなければ寄り添えない
一つずつ解説していきます!
①「親の育て方のせい」は誤り
発達障害は生まれつきの脳の特性であり、親の育て方が原因ではない
困った言動をする子どもを持つ親なら、何度も言われてきたのではないだろうか。
「親の育て方が悪い」
「どんな教育をしてきたのか」
しかし、本作では、発達障害は脳の特性であり、生まれ持った先天的なもの。
医学的に「発達障害は親の育て方のせい」は誤りだと述べられています。
冒頭でこの話題が何度もとりだたされているのは、
いかにこのような誹謗中傷があったかの裏返しだと感じました。
それと同時に、親が陥りやすい考え方でもあることがうかがえます。
「私の育て方が悪かったから、こんなふうになってしまった…」
親の養育による子の影響というのは、決して無視はできないものではあります。
しかし、何度も繰り返し述べますが、
発達障害の特性というものは、生まれ落ちた時からある「脳の機能」の問題。
確かに、特性を持った子が、親の養育により、特性がありながらも幸せに暮らせることもあるでしょう。
しかし、決して「治る」というものではないのです。
当事者は、精一杯以上の労力をようして、「普通」のフリを演じているのです。
②「不可解な行動」の理由
「不可解な行動」の理由、その理解と対処法
他人からみて、発達障害の特性による行動は、不可解に思えることがあります。
しかし、そんな「不可解な行動」にも理由があります。
そんな理由を知ることで、対処することも可能です。
本書では、様々な「不可解な行動」、その理由と対処法が紹介されています。
今回はその内から、3つの具体例を簡単に紹介します。
整理整頓が苦手
理由…ADHDの人が不得意なマルチタスクの繰り返しだから
対処法…整理整頓された状態を写真に撮る。そして、プリントアウト。
「この状態になるように整理する」と、視覚上わかりやすくなる傾向あり。
指示されたことを忘れてしまう
理由…ADHDの人の特性「注意欠如」により、短期記憶が保持されにくいため
対処法…記憶に残りにくいことを前提に、コミュニケーションをとる。
「定型業務はあらかじめマニュアル化しておく」。わからない場合どうすればいいのかの道しるべ。
人との距離が近すぎる
理由…ASDの人は、「相手の感情を推測すること」、「臨機応変に対応すること」が苦手
対処法…「両腕を横に広げたとき以上の距離をとろう」と具体的にアドバイスする。
実際に体験してみせる。
③「当事者の本音」が分らなければ寄り添えない
寄り添い合う関係を築くことが大事
発達障害の特性を持つ人の行動理由を知れば、
「わざとふざけているのでは?」
「こちらを邪魔する意図があるのでは?」
とむやみにストレスを感じる必要がないことに気づくことが可能。
自分のことを嫌っている、貶めようとしている人には、誰だって尊重できません。
しかし、その相手が、特性としてそのような行動を起こしていると知れば、
寄り添い合える関係づくりも、可能なのではないでしょうか。
発達障害の特性を持つ人の困った行動への対処法だけを学んでも、実践することは難しい。
孫子の兵法ではないですが
「相手を知り、自分自身の状態を知らねば、コミュニケーションはとれない」
まとめ
繰り返しとなりますが、本書のポイント
①「親の育て方のせい」は誤り
②「不可解な行動」の理由
③「当事者の本音」が分らなければ寄り添えない
当事者である私自身、「なぜ生きづらいのか」という漠然とした不安をずっと抱えていました。
みなと違う言動にも原因があり、そしてその対応策もある。
それが分るだけでも、「よくわからない不安」が軽減されていきました。
そして、この本で説明されているようなことが、社会みんなの「当たり前」になればいいなと、読み終わって感じました。
発達障害は、「自分とは異なるなにか恐ろしいもの」ではなく、
個々人の単なる特性の一つとして周知されることを願います。
この本は
・発達障害の特性を持つ人
・発達障害の特性を持つ相手と関わる人
・対処法、生きやすいコツを知りたい人
におすすめな一冊です!
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