『⁠臨床法医学者・真壁天』高野結史/児童虐待を鑑定する臨床法医が謎を解く!

てつやま
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こんにちは、てつやまです。

このたび、高野結史さんのミステリー小説『⁠臨床法医学者・真壁天 秘密基地の首吊り死体』

を読みました。

《作品情報》 第19回『このミステリーがすごい!』大賞・隠し玉

・書名  臨床法医学者・真壁天 秘密基地の首吊り死体

・著者  高野結史(たかのゆうし)

・出版社 宝島社

・頁数  283

1.この本のここが凄い!

第19回『このミステリーがすごい!』大賞・隠し玉。著者のデビュー作

臨床法医という、あまり知られていない仕事から児童虐待の問題とも向き合う点、

社会派ミステリーだと感じました。

また、人間嫌いな主人公・真壁天の、成長物語にも注目!

小学校時代のトラウマに縛られている主人公。

そんな主人公・真壁天の止まった時間は、過去と向き合うことで急速に動き出します!

なぜこの本を読んだのか?

高野結史さんの作品『奇岩館の殺人』(2024年2月6日発売)を読んで、

この著者の他の作品にも興味を持ったからです。

2.かんたんあらすじ

法医学者・真壁天は、人間と接するより死体を解剖している方が性に合う人間嫌い

そんな主人公が、児童虐待の鑑定を引き受け、鋭い観察眼で、親子の闇を暴いていく。

そんなある日、彼に虐待を指摘された親が、首吊り死体で発見されて!?

心に響いたフレーズ

死体とならば何時間でも向き合っていられるのに、生きた人間と接するのはひどく疲れる。

主人公の法医学者・真壁天のモノローグ。

人付き合いが下手で、人間嫌いな性格がうまく表現されていると感じるセリフです。

そんな彼が、児童虐待を調査する【臨床法医】の仕事をし出すことで、物語が動き出します。

この物語は、過去と向き合うことで、今を生きることをテーマにしていると感じました。

また本音がポロッと出てしまった。すぐ気づいたものの時すでに遅し。

主人公・真壁天のモノローグ。

彼の性格と、それに気づくことは出来ている点を、言い表しています。

言っちゃいけないことを言ってしまうのは、誰にでもあります。

その頻度が多い主人公は、個人的にとても共感できます。

いい年になった今なら、口に出す前に一呼吸置く大事さを知っていますが、

学生時代まで、「どうして思ったことを口に出すのがいけないの?」と本気で思っていました。

そして、社会人となっても、負の感情に襲われると、ついつい余計なことを口にして、

人間関係を混乱させてきてしまいました…

しかし、私の負の感情は、長続きはせず、しばらくすると

「どうしてあんなこと言っちゃったんだろう」

と自己嫌悪していました。

「後悔するなら言わなければいい」

というのは正論ですが、なかなか人間の心は難しいものだと今でも思います。

3.まとめ

読んだことで得られたポイント

児童虐待の加害者と被害者。親と子ども。

それを鑑定する臨床法医の仕事。

子どもにとって、親の存在はとてつもなく大きいものです。

そんな子どもは、大人になっても、虐待を受けた影響からは逃れられません。

その現実が、とても恐ろしいものだと、この本を読み終えて感じました。

主人公の真壁天が、法医学者の権限を越え、調べていく様は、

過去に出会った首吊り事件のトラウマに苛まれている状況とリンクしていて、とても印象的でした。

どんな人間にも立場があり、自分の主義主張がある中で、

それでも付き合っていくことの難しさも感じました。

よく知らない分野の話だったため、臨床法医の仕事の大変さ、難しさを初めて知ることができました。

この本は

・伏線回収ミステリーが好きな人

・主人公の成長物語が好きな人

・人間関係がうまくいかないと悩む人

におすすめな一冊です!

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