
こんにちは、てつやまです。
このたび、森バジルさんのバラエティミステリー小説
『なんで死体がスタジオに!?』を読みました。
《作品情報》
・書名 なんで死体がスタジオに!?
・著者 森バジル
・出版社 (株)文藝春秋社
・頁数 251
1.この本のここが凄い!
【統括プロデューサー】幸良涙花(こうらるいか)
【再起を図るお笑い芸人】二礼左馬(にれいさま)
【ギャルタレント】京極バンビ
【視聴者】甲斐朝奈
この4人の視点それぞれからみた、テレビ番組「ゴシップ人狼2024秋」の中での
出来事を描いたバラエティ×ミステリー作品。
死体発見後、犯人からの指示で番組を進めざるを得ないプロデューサーの緊張感と、
そんな緊迫感を知らずに、生放送をこなすタレントたち。
番組が佳境に向かう頃、両者の思惑は重なっていき…
なぜこの本を読んだのか
タイトル『なんで死体がスタジオに!?』がインパクト強くて、読みたくなりました。
バラエティー番組×ミステリーというジャンルとは、初めて出会ったため、とても興味深かったです。
2.かんたんあらすじ
崖っぷちプロデューサー、幸良涙花(こうらるいか)の最後のチャンス番組…それは
「ゴシップ人狼」。
みんなのリアルなゴシップ話の中から、潜む嘘を暴くトーク生放送バラエティー特番!?
そんな番組放送直前に、大物俳優・勇崎恭吾(ゆうざききょうご)の死体発見!?
しかも犯人と思しき人物から、「生放送を中止したら、爆弾を起動させる」と脅されて…!?
涙花は事件を片付けて、無事番組を放送しきれるのか!?
心に響いたフレーズ
テレビを見るのなんて、いつぶりだろう。
【視聴者】甲斐朝奈のモノローグ。
なんてことない箇所だが、実は深い意味があるかも…なんて疑っていたポイントです。
ミステリーにおいて
「いつ」
「だれ」
「どこで」
という要素は、読者を欺くキーワードだと思っています(偏見)。
「誰が殺したのかは、OA終わるまでは、ほっとく」~「勇崎さんすみません。私小学生のときからバカなんです。テレビバカ。テレビバカはどうしても、おもしろに吸い寄せられちゃうんです」
【統括プロデューサー】幸良涙花(こうらるいか)のセリフ。
死体発見時、
「番組止めるな、台本通りに進めろ。爆弾を爆発させるぞ」
という謎の人物からのメッセージを受けとった後のセリフ。
特殊な状況にふさわしい「狂気的な思考」に囚われている状態。
ある意味【おもしろハイ】だな、というのが第一印象。
幸良の「バラエティに対する業の深さ」を物語っている一幕。
「まあ実際は本当に死んでるんですけど」~「ごめん、どうしても言わずにはいれなかった」
【統括プロデューサー】幸良涙花のセリフ。
【チーフAD】次郎丸夕弥の信じられないという表情に、慌てて謝っている。
ゴシップ人狼2024秋の特別追加ルール「勇崎恭吾殺人事件の犯人当て」というコーナーを紹介するMC。
そしてそれぞれ推理するタレントたち。
その中で、「たんなるゲームでやる気がでない」と愚痴るタレントにツッコんだセリフです。
この緊迫した状況を忘れる程、本当に面白がってツッコんでしまっており、
幸良のある意味、狂気じみたものを感じました。
3.まとめ
読んだことで得られたポイント
生放送かつ死体発見
これほど緊張感が生まれる取り合わせも、類を見ないでしょう。
著者は、それぞれの視点を描くことに定評がある人物です。
そのため、この各登場人物たち視点からみた「ゴシップ人狼2024秋」という番組は、
小説の中といえど、とてもハラハラドキドキさせてくれました。
私自身、読み進める中で、読者(視聴者の一人)として没頭できたのだと感じました。
人の数だけ悩みがある。そして、それは善人悪人関係なく…。
そんなことを再確認させてくれる作品です。
この本は
・バラエティー番組が好きな人
・人狼ゲームが好きな人
・ハラハラドキドキ一気読みしたい人
におすすめな作品です!
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