こんにちは、てつやまです。
このたび、馳星周さんの競走馬小説
『ロスト・イン・ザ・ターフ』を読みました。
《作品情報》
・書名 ロスト・イン・ザ・ターフ
・著者 馳星周
・出版社 文藝春秋
・頁数 373
1.この本のここが凄い!
馬への愛と、ラブコメを!
タイトルの「ロスト」
成績を残せないと種牡馬になれなず、
処分されるという危うい存在、競走馬。
競馬は「血」のスポーツだと言われるが、
その血脈が徐々に失われていく…
さらに、サラブレッドを育て、
競走馬として走らせる過程に関わる人材の減少
様々な「ロスト」、失いつつあるものを抱える競馬業界。
そんな大きなこととは置いておいて!
一目惚れした牡馬を救うべく、
そしてその馬の仔を競走馬にするべく奮闘する主人公の物語!!
なぜこの本を読んだのか
スマホアプリ【ウマ娘】から競馬に興味を持ち、
競馬関連の物語だという評判を聞き、読みたいと思いました。
本作の競走馬・ウララペツは、メジロマックイーンの
ラストクロップ(死亡した種牡馬の最後の子馬の世代)という設定。
有名なウマの名前もでてきて二度美味しい!
2.かんたんあらすじ
主人公・倉本葵は、引退する9歳の馬【ウララペツ】と出会い、ひとめで恋におちた。
彼女は、ウララペツを種牡馬にしようと決意。しかし、次々と困難が立ちはだかる。
馬を愛する人々の、奮闘と恋模様を描いたラブコメ!
心に響いたフレーズ
勝たなくてもいい。とにかく無事にゴールまで駆け抜けて、また、元気な姿を見せてくれればそれでいい。
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主人公の葵が一目惚れした馬・ウララペツ。しかし成績は振るわず。
それでも走り続けるウララペツに願うのは、元気な姿を見せてくれということ。
親が子を思う、または子が親を思う気持ちに似た感情なのかもしれません。
馬は自分が走る距離を知らない
競馬ファンがよく使う言葉だ。短距離を走るのか、中長距離を走るのか、馬は知らない。
どこがゴールなのかさえわからない。騎手の指示に従って走っているだけなのだ。
↓
人生と同じだと感じました。
どこまでなのかわからない道のりを、それでも懸命に生きる。
どのくらいの距離かわからなくても、ジョッキーという相棒とともに、その時々でベストを尽くす。
一瞬のきらめきを生きる美学だ。
馬みたいに今を生きてれば幸せなんだろうなって。
過去に囚われず、まだ起きてもいない先のことに縛られず、
ただ今をひたすらに生きてたら、なにかを思い煩うことなんかないじゃないですか。
ただただ生きて、一瞬一瞬を噛みしめるんです
↓
牧場経営者の登場人物の台詞。
マインドフルネス。今ココを意識する考え方が、馬には自然に出来ている。
しかし人間にはなかなか難しい。
今を生きることの難しさと、そんなふうに生きることができる馬へのあこがれを感じる場面です。
3.まとめ
読んだことで得られたポイント
一目で惚れ込んだ馬のために奮闘する主人公。
「このウマの生きた証を消したくない」という強いエネルギーが次々と仲間を引き寄せます。
大義名分や世の理などではなく、単純な「好き」という気持ちが、
人々の心を打つのだなあと感じました。
そして、大変で苦労も多いけれど、そんな「好き」を私自身は持っているだろうか、
と自問自答し、うらやましく感じました。
この本は
・競馬好きな人
・ウマ娘好きな人
・困難の中でも貫き通す「好き!」に魅力を感じる人
におすすめな作品です!
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