『五葉のまつり』今村翔吾/仕事×戦国!働くすべての人に刺さる作品

てつやま
てつやま

こんにちは、てつやまです。

このたび、今村翔吾さんの歴史お仕事小説

『五葉のまつり』を読みました。

《作品情報》

・書名  五葉のまつり

・著者  今村翔吾

・出版社 株式会社 新潮社

・頁数  633

1.この本のここが凄い!

「戦場以外」での、命がけの戦いを刮目せよ!

歴史上の人物、「石田三成」。

彼は、天下を収める豊臣秀吉のために、「戦場以外」で働くことに迷いがない人物。

そして、そんな彼と、ある者は同調し、またある者は反目しながらも、
「天下を治める」ことに尽力する仲間たちがいた…

そんな、彼ら「五奉行」の、絆と勇気で立ち向かうストーリー!

なぜこの本を読んだのか

戦国武将の中でも切れ者として知られる「石田三成」

そんな彼と、豊臣政権の「五奉行」のことについて、もっと知りたいと思い読んでみました。

2.かんたんあらすじ

時は戦国時代末期。天下人としての地盤を固めつつ、躍進する豊臣秀吉。

それに伴い、天下を治めるために肥大する、「豊臣政権」。

その中で、「五奉行」と呼ばれる、政権の中枢を担う男たちがいた…

刀狩り、太閤検地、醍醐の花見――

豊臣秀吉が仕掛けた大事業の舞台裏で、言葉と知略を武器に、敵対勢力の妨害を退け、
力を合わせて難事に挑んでいく!

歴史「お仕事情熱」小説!

心に響いたフレーズ

五奉行の面々は一言で言えば仲が悪い。出自や性格も全く違う者たちなのだ。年齢一つとっても、上から玄以四十九歳、長盛四十三歳、長政四十一歳、三成二十八歳、正家二十六歳と、大きく開きがある。

「北野大茶会」時点。1587年時点のことと思われる。

同じ五奉行といえど、こんなに年齢が離れていたら、ちゃんと話し合いになるのか、不安になるくらいの開き具合です。

現代でも、年功序列の風土が残っている日本。戦国時代なら、なおさらだっただろうと推測。

しかし逆に言えば、天下統一後の、日本を動かす政の前には、年齢など些末な問題だったのかもしれません。

「如何なる御茶をお望みでしょうか。教えて下さい」

石田三成の、秀吉との「三杯の御茶」のエピソードの、幻の四杯目の話。

一杯目、秀吉の喉を潤すため、温めで並々と注ぐ。

二杯目、一杯目よりわずか熱め、小さな茶碗で注ぐ。

三杯目、二杯目よりも熱く、一杯目の三分の一程度の量を注ぐ。

これで終わりだと思っていた三成に、秀吉は四杯目を頼む。

三成は、頭をフル回転にして考えるも、答えは出ず、素直に尋ねた際のセリフ。

日本人は「察する文化」といわれています。

三杯目までは、秀吉の状態を察し、見事に接待をこなす三成。

しかし、四杯目に至り、相手の意図がわからず、ある意味、敗北感をいだく三成。

しかし、そんな悔しさをぐっと飲みこんで、相手の要望を素直に聞く。

わからぬままに相手の意図しない接待をしてしまえば、相手に喜んでもらえない。

つまり、自分の意地よりも相手を楽しませようとする気持ちが、勝ったからこその言葉。

私も、わかったふりして相手におしつけるコミュニケーションではなく、

わからないことを素直に話すことができる対応を心掛けたいと感じました。

花を愛でる人は多いが、葉を眺めようとする人は少ない。だが誰が見ずとも葉は生い茂り、やがてひっそりと身を引き、再び花が咲き誇るのだ。人々の笑いを咲かせるため、誰に顧みられずとも働き続ける。「奉行とはかようなものかと」

三成のモノローグとセリフ。

タイトルの『五葉』に関する伏線回収場面。

五つの葉。

枯れはてても、次に現れる芽の養分となる存在。

花のように愛でられたりしない、目立つ存在ではない。

しかし、確実に、大木そのものを支え、守る存在。

こういった存在に敬意を払いながら、今の時代を生きていきたいと強く感じました。

3.まとめ

読んだことで得られたポイント

本を読む前は、石田三成・浅野長政くらいしか聞いたことがなく、
しかも断片的にしかわかっていない状態でした。

小説というフィクションの話ですが、その登場人物の性質や言動は、史実に基づいている部分もあると考えて読みました。

読後、とてもさわやかな気分になりました。

「お仕事戦国小説」と銘うっている評判通り、仕事に携わってきた全人類に刺さる本だと感じました。

五奉行という五人のキャラクターの背景もしっかり描かれていて、感情移入しやすかったのも、
最後まで苦労なく読めた要因かと思います。

一人の偉大な人物が、難敵に立ち向かう話も面白いですが、さまざまな性格の人物たちが、

反目しつつも、目標に向かって突き進む話もとても面白いものです!

性格年齢考え方がバラバラでも、難題に挑む際の心構えは同じ!

一致団結で挑む姿にハラハラドキドキしました。

この本は

・戦国時代の歴史好きな人

・頑張っている人を応援したい人

・目立たない自分を変えたいと思っている人

におすすめな作品です!

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