
こんにちは、てつやまです。
このたび、小川哲さんのクイズ×推理小説
『君のクイズ』を読みました。
《作品情報》
・書名 君のクイズ
・著者 小川哲
・出版社 朝日新聞出版
・頁数 190
1.この本のここが凄い!
1文字も読まれていないクイズの問題に正答できたのは、なぜか!?
ミステリにおける「不可能犯罪」のような現象。
どうやって?を突き詰めた先にあるものとは?
そして『君のクイズ』というタイトルに込められた意味とは?
なぜこの本を読んだのか
クイズ番組や、クイズの動画が好き。
クイズ×ミステリという掛け算に魅力を感じたため読んでみました。
2.かんたんあらすじ
『Q-1グランプリ』決勝の舞台裏では、一つの謎が渦巻いていた――。
優勝がかかった最終問題、「問題文が一文字も読まれずに」正解を導き出し優勝した本庄。
ライバル本庄の驚異的な正答に疑問を抱いたクイズプレーヤー三島玲央は、
その真相を解き明かすため、決勝戦の問題を一つひとつ振り返り始める。
果たして、本庄の正答にはどんな秘密が隠されているのか?
そして、それに挑む三島の運命は?
クイズ×ミステリーの新ジャンルが織り成す、唯一無二の知的エンターテインメント!
心に響いたフレーズ
僕はこれからクイズを解く。「Q.なぜ本庄絆は第一回『Qー1グランプリ』の最終問題において、一文字も読まれていないクイズに正答できたのか?」
この本『君のクイズ』の最大にして本筋のテーマ。
不可思議なことを解明するというミステリの側面を、競技クイズにあてはめた面白い設定。
自分の頭で考えるとは、情報を集めて、問題を設定し、それについて仮説を立てること。
ミステリーでも、クイズプレイヤーでも考え方は同じなのかもしれないと感じました。
「ピンポン」という音は、クイズに正解したことを示すだけの音ではない。解答者を「君は正しい」と肯定してくれる音でもある。
肯定してくれる、というのが良い言い方だと感じました。
自己肯定感をはぐくむためには、親などからの「あなたはあなたのままで素晴らしい存在」という、
受容の関係が大切。
肯定してくれる存在は、親のみではなく、先輩や仲間、あらゆる他人。
そして、クイズの正答の音「ピンポン」も、そのひとつなのかもしれません。
「ずばり、クイズとは何でしょう」僕はボタンを押して「クイズとは人生である」と答える。「ピンポン」という音はいつまで経ってもならなかったが、正解だという確信があった。百パーセントの確信だった。
『君のクイズ』というタイトルの伏線回収箇所なのかな、と個人的に感じました。
クイズ=人生という回答ならば、君のクイズとは、「君の人生」をという意味です。
君とは、君たち、登場人物以上の読者たちすべての人間を指すのかもしれません。
一人ひとり人生があり、その中で問いという「課題」「選択」があります。
そして、正解音である「ピンポン」は聞こえませんが、その選択決定において、
百パーセントの自信、確信をもって良いと言ってくれているように思いました。
「あなたの答えは、あなたを肯定してくれる」
そんな暖かさを感じました。
3.まとめ
読んだことで得られたポイント
クイズに正答するということ。
神速で広大な知識の中から回答するクイズプレイヤーは、魔法使いのように見えます。
しかし、本作品『君のクイズ』を読み、論理と経験の積み重ねという技術であると感じました。
そして、その技術を積み重ねることができるのが「才能」なのかもしれません。
また、ミステリ×クイズという一見関係ないそれぞれのかけ合わせが、
深い没入感を違和感なく与えてくれました。
謎に向き合うクイズプレイヤーとは、謎を解き明かすために試行錯誤する名探偵なのだと知りました。
この本は
・クイズが好きな人
・未知への遭遇でわくわくしたい人
・ミステリ好きな人
におすすめな作品です!
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