
こんにちは、てつやまです。
このたび、カモシダせぶんさんのミステリ小説
『探偵はパシられる』を読みました。
《作品情報》
・書名 探偵はパシられる
・著者 カモシダせぶん
・出版社 株式会社PHP研究所
・頁数 284
1.この本のここが凄い!
探偵×パシリという新ジャンル!!
様々な属性の探偵たちが世に出てきている今日、まさか「パシリ」が名探偵になるとは!?
さらに、パシリと番長のコンビも、ミステリーとして成り立つなんて…新鮮です!!
なぜこの本を読んだのか
『探偵はパシられる』というタイトルに惹かれたため。
探偵×パシリという新しいジャンルに、読んでみたくなった。
2.かんたんあらすじ
番長とか、パシリとか…これでミステリーになっちゃうの!?
このパシリ、事件への裏読みが…鋭すぎる!?
パシリが推理で人助け!?
各章かんたんあらすじ
●ファーストカツアゲ
→カツアゲしてくるこのヤンキー?何かがおかしい?
その意図に気づくパシリ。
●最後のあんぱん
→あんぱんに固執するこの男の正体は?
番長のために、最後のあんぱんを死守せよパシリ!
●詫び名人
→泣かせた相手は「何に詫びてほしかった」?
他校の番長の悩みに寄り添うパシリ
●面接官はパシリ
→パシリ、従兄の面接の練習に付き合う
従兄の心も見通すパシリ
●消えたメリケン
→メリケンサックはどこにある?
ボクシング部からの依頼で、探せパシリ!
●パシリとゲノム
→人気者教師の裏の顔とは?
番長の赤点回避のために推理する!
●取り立てするなら番長に
→図書室の本を返さないヤンキーの理由は?
図書委員からみたパシリと番長
●校長公認番長
→番長をかばう校長の真意とは…?
パシリ、番長の人柄に触れる
●ヤンキー、空に還る
→番長の仲間が死んだ…
パシリよ、ハートフルな親子の関係を修復せよ!
心に響いたフレーズ
「えっ、丸木さん、ウィキペディアのページあるの?素人の高校生なのに?」
《ファーストカツアゲ》より。転入生、原田広志のセリフ。
番長の丸木大也のすごさを、「ウィキペディアのページ」というかたちで表す場面。
ウィキペディアなんて今時な表現で、とても斬新。
てつやま「え!?丸木さん、ウィキペディアのページあるの?素人の高校生なのに?」
「こういう時はわかってても!喋らせるんだよ!会話下手だぞお前!~」
《面接官はパシリ》より。パシリこと、岡部の従兄のセリフ。
パシリは、鋭いし、頭がいい。
しかし、鋭すぎて結論を言いすぎてしまうタイプなのだとこの場面でわかりました。
戦国時代の、竹中半兵衛と黒田官兵衛なら、官兵衛タイプ。
人間関係に難あり、というパシリの一面が垣間見えました。
だからこそパシリは、番長の丸木に魅力を感じているのだろう。
今まで岡部は丸木の奴隷だと思っていた。だけど今は違う。岡部は丸木から絶大な信頼を置かれている。とても良いパートナーだ。オレも将来はこれだけ信頼出来るトレーナーに出会いたい。
《消えたメリケン》より。ボクシング部の村田のモノローグ。
番長とパシリなんて、隷属関係。そんな関係でコンビたり得るのか?
読者もおそらく思っていたことを、改めて語ってくれた場面。
そして、これまで読み進めてきた読者と同じように、番長とパシリ、丸木と岡部の関係が、
単なる上下関係ではないことを再認識する瞬間。
「良いパートナー」との表現も、納得。
3.まとめ
読んだことで得られたポイント
『探偵はパシられる』
このタイトルを見た時には、表では気の弱い生徒を演じ、裏では事件を解決している、
そういった物語を想像していました。
しかし、この本の根底にあるのは、《番長》と《パシリ》のバディミステリー。
日常で起る謎、課題を、番長として解決する。その一助としてパシリが推理する構造。
通常、パシリは番長にとって、とるに足らない存在です。
しかし、この物語では、よく手がでて、実際買い物を買ってこさせてはいますが、
番長の丸木にとって、パシリの岡部は、自分と一緒にいてくれる貴重な存在だと感じているように見受けられました。
そして、番長の人間性に魅力を感じていおるパシリにとっても
「この人のためにパシリたい」
そう考えて動いている節があります。
お互いの、足りない部分を補い合っている点、彼らは良きパートナーなのだと感じます。
この本は
・日常の謎を解決するミステリーが好きな人
・一風変わった物語を読みたい人
・バディもの(相棒関係)が好きな人
におすすめな作品です!
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