
こんにちは、てつやまです。
このたび、EDAさんの異世界料理小説
『異世界料理道』1~3巻を読みました。
《作品情報》
・書名 異世界料理
・著者 EDA
・出版社 株式会社ホビージャパン
・頁数 317/284/333
1.この本のここが凄い!
「異世界×料理」というのは、珍しいものではありません。
しかし、本作品が他の料理ファンタジー小説と違うのは、「チート」が全くないこと!
魔法で発酵を進ませたり、現代と繋がって材料が手に入る分けでもない…
一つ一つ、異世界の食材を、試行錯誤で料理していく。
そうして、料理を通じて、人と人の縁を紡ぐところが、ハートフル!
なぜこの本を読んだのか
他作品よりも、リアルに描かれた異世界料理小説だったから読み進めました。
没入しながら読むことができ、主人公とともに成長できる作品。
2.かんたんあらすじ
異世界に迷い込んだ少年が、料理の腕で、森辺の民と呼ばれる狩人の部族たちとの縁を結んでいく話。
1~3巻は、異世界の森辺、料理道導入編。
心に響いたフレーズ
「……食い物に美味いも不味いもない」(1巻)
森辺の民、女狩人アイ=ファのセリフ。
この物語のキーワード。
「生きるため」に特化した食事。
栄養 〉〉〉〉〉〉味?
そんな人たちに
「美味しい食事は心を満たす」
ということを伝えていくストーリー。
主人公・アスタの、『異世界料理道』という物語が始まった瞬間。
「~こんな得たいの知れない余所者の俺が森辺にやってきたことも、毒ではなく薬になりうるかもしれないー」(2巻)
主人公・アスタのセリフ。
この『異世界料理道』という作品のテーマを言い表している場面。
「毒ではなく、薬となりたい」
せっかく関わるのだから、悪い影響ではなく、良い影響でありたい。
この志が、アスタの行動に一本芯を作っているのではないかと感じます。
「正しいと断ずることはできませんが、また、間違っていると断ずることもできないと思います。だから私は、正しいことなのだと信じることにしたのです」(3巻)
森辺の民、ルティム家の長男、ガズラン=ルティムのセリフ。
ルウ家の長男、ジザ=ルウは、
「森辺の外の人間に、森辺の秩序を壊されるのは許されることではない」
というスタンスで、異国人であるアスタに対して、厳しい視線を向ける。
そんなジザ=ルウには、大事な婚儀の宴のかまど番を、そのアスタに任せるという決断をした、ガズラン=ルティムに、その真意を尋ねる。
そんなジザ=ルウに向けた、ガズラン=ルティムのセリフです。
「正しいか間違っているかは、わからない。
わからないなりに、正しいことだと信じて決断する。」
ガズラン=ルティムの、強い意志を感じる場面です。
3.まとめ
読んだことで得られたポイント
主人公の少年が、異世界の森に放り込まれ、その森の女狩人に助けられる。
そして、ひょんなことから、部族の有力者に主人公の食事をふるまうことに。
芸は身を助ける。
主人公が、食堂の息子で見習い料理人。
それに対して、森辺の民は「料理に美味いも不味いもない」というスタンス。
そんな相手に、「美味しい料理」で、かたくなな心を溶かしていく。
主人公の誠実さと情熱に、
「好きなことを突き詰めながら、相手と関わっていく覚悟」を学びました。
この本は
・料理小説が好きな人
・濃厚な人間模様が読みたい人
・読み応えのある小説が読みたい人
におすすめな作品です!
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