『異世界料理道⑫~⑬』EDA/「⁠“普通”じゃない自分らしさ」に気づく!

てつやま
てつやま

こんにちは、てつやまです。

このたび、EDAさんの異世界料理小説

『異世界料理道⑫~⑬』を読みました。

《作品情報》

・書名  異世界料理⑫~⑬

・著者  EDA

・出版社 株式会社ホビージャパン

・頁数  310/328

1.この本のここが凄い!

「異世界×料理」というのは、珍しいものではありません。

しかし、本作品が他の料理ファンタジー小説と違うのは、「チート」が全くないこと!

一つ一つ、異世界の食材と、見知った現代の食材を照らし合わせ、試行錯誤で料理していく。

そうして、料理を通じて、人と人の縁を紡ぐところが、ハートフル!

なぜこの本を読んだのか

他作品よりも、リアルに描かれた異世界料理小説だったから読み進めました。

没入しながら読むことができ、主人公とともに成長できる作品。

2.かんたんあらすじ

異世界に迷い込んだ少年が、料理の腕で、森辺の民と呼ばれる狩人の部族たちとの縁を結んでいく話。

12~13巻は、サイクレウスとの決着

心に響いたフレーズ

まだ書籍化が決まる前のごく早い段階で、「これほどメディアミックスを念頭に置いていないのは潔い」などというご感想を頂いたこともある当作であるのです。

第12巻あとがきより。

この本の特徴をうまく言い表していると感じました。

確かに、登場人物が異様に多いというのは、この本の特徴の一つだと思います。

登場人物が多種多様であるということは、それだけ映像化やメディア化が難しいということ。

本の中の台詞やモノローグで、キャラクターの性格を差別化は可能。

しかし、それが映像化となると、途端に難しくなります。

だからこそ、数多くのキャラクターを輩出している本作が、メディアミックスに迎合しない潔い作品と評価されているのは、かなりの褒め言葉であると思いました。

「これまでと変わらぬ平和な日々か。とても素敵な言葉だね。そいつには、きっと生命を懸け」

第13巻より。

赤髭党の頭目ゴラムの妻、バルシャのセリフ。

貴族・サイクレウスの陰謀を明らかにしたいカミュアの頼みにより、
貴族の企みの証言をするために、ジェノスの町にやって来たバルシャ。

野盗であった赤髭党として証言するということは、現代で言えば、犯罪者が警察に自首する以上の覚悟が求められます。

息子のジータが、復讐の刃を振り下ろす前に、命をかけてこの騒動を終わらせようという覚悟を決めた場面です。

俺の料理は、薬なのか、毒なのか。それを疑問に思う用心深さだけは根っこに置いたまま、俺の料理を食べてほしいと思う。

第13巻より。

アスタのモノローグ。

森辺の民の信頼を得て、料理を作る立場になろうとも、自分自身の料理が、彼らにどのような影響を与えるのかを慎重に考え続けながら、関わっていきたいという気持ちを表す場面。

「親しき仲にも礼儀あり」ということわざを思い出しました。

この「異世界料理道」という作品のテーマの一つが

「毒ではなく薬でありたい」であると私は思います。

サイクレウスという、目下最大の敵がとのいざこざがひと段落して、

「仕切り直し、初心に戻る」という意味も込められているのではないかと思いました。

3.まとめ

読んだことで得られたポイント

12~13巻では、「生き方や価値観のぶつかり合い」の煌めきが、強く印象に残っています。

森辺の民は、自分たちの誇りを大切にし、他人の評価に左右されずに生きています。

それは、とても気高くて、カッコいい反面、他文化との歩み寄りに対する柔軟さに欠け、他人と深い理解を築くには時間がかかるという短所ともいえます。

アイ=ファが、女狩人バルシャと出会った時も、この「価値観の衝突」を象徴する場面でした。

女性で、母になりながら狩人として生きるバルシャと接することで、
アイ=ファの中にあった「こうであるべき」という固定観念が大きく揺さぶられます。

この巻から、「違う生き方がある」ことを受け入れ、視野を広げていくことの大切さを学びました。

この本は

周囲の“普通”にうまく馴染めずにモヤモヤしてる人

性別役割に縛られず、自分らしい生き方を模索してる人

「信念」と「共感」のバランスに悩む人

におすすめな作品です!

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