こんにちは、てつやまです。
このたび、こがらし輪音さんのほっこり家族小説
『電話交感 私とおばあちゃんの七日間の奇跡』を読みました。
《作品情報》
・書名 電話交感 私とおばあちゃんの七日間の奇跡
・著者 こがらし輪音
・出版社 KADOKAWA
・頁数 301
1.この本のここが凄い!
現代社会に生きるすべての人たちへ!
自分と他人。
「辛さ」を比べて苦しむ人たちへ向けた、ハートフルストーリー!
なぜこの本を読んだのか?
雑誌に紹介されていて、面白そうだったから。
ハートフルな作品が読みたいと思い、読んでみました。
2.かんたんあらすじ
コロナ陽性で自宅謹慎中の主人公・紗菜。
そんな中、亡き祖母タヱと、彼女のスマホが、
何故かつながってしまい!?
祖母との七日間の対話を通じて、
彼女は、前向きに生きることの大切さを学びます。
読後ほっこりします!
心に響いたフレーズ
その正しさが私には苦しいの。
譲って、いつも正しさを押しつけるばっかりで、
私の心に寄り添ってくれている気がしないんだよ
↓
正しいというのは、ある意味怖いものです。
正しい、一理ある、と感じたら、
自分にとってしんどいことでも目をつむって受け入れてしまう。
正しい、かつ優しい。
これが一番いい。
ただ、そんなにうまくいかないのが世の中。
それに対して、
正しいかつ優しくない。
これは、とてもしんどいものです。
例えば、とあるハードボイルド探偵小説より
「タフでなければ生きていけない。
優しくなければ生きていく資格はない」
タフ、正しさを持ち続けることのできる強さ。
そして、相手を思いやる優しさ。
両方をあわせ持つ人間でありたいと感じました。
つらさを他の誰かと比べる必要なんてないのよ。
私自身、あんなひどい戦争を経験していても、
その後につらいと思ったことはいくらでもあったわ。
サナちゃんの気持ちはサナちゃんだけのもの。
どんなときだろうとつらいものはつらい。
それしかないし、それでいいの。
↓
祖母の戦争の経験と、自分の人間関係の悩みを比較して、
自分を卑下するサナ。
そんな孫に、優しく話しかける祖母タヱの台詞。
痛さや辛さは、数値化できません。
個々人で、同じ衝撃を与えても、
どのくらいダメージを感じるかは、人それぞれ。
だからこそ、相手の辛さと自分の辛さを比較しても仕方ない。
相手の辛さに共感しつつも、自分の辛さも認めていい。
認める努力が大事なんだと思いました。
忘れたっていいのよ。
それはサナちゃんが、今より前に進んだ証なんだから。
↓
日頃の雑務に追われ、
大好きだった祖母を忘れていたことを悔いるサナ
そんな孫にかけた、祖母タヱの台詞。
忘れることは、悪いことなんかじゃない。
今を、一生懸命生きている証。
たしかに、忘れないことも大事です。
しかし、一つ忘れるということは、
実は一つ前に進んでいるということなのかもしれません。
3.まとめ
読んだことで得られたポイント
親の心子知らず、逆もしかり。
しっかり話したい、そう思った時にはもういないもの。
この作品は、「過去に戻ってしっかり話したい」という願いを、
疑似体験として叶えてくれる一冊。
なんでおばあちゃんは、孫を可愛がってくれるのか。
当たり前ですが、孫から見たおばあちゃんにも、
生きてきた人生の遍歴があります。
そんな当たり前のことを思い出させてくれる作品です。
とにかく、家族のハートフルな作品!
他人に優しく出来るのは、
家族などの親しい人が
しっかり自分を愛してくれていることを
実感できた瞬間なのだと感じました。
ラストも綺麗にまとまっており、読後感さわやかスッキリ!
この本は
・家族のハートフルな物語が好きな人
・世代間のコミュニケーションに悩む人
・日々の人間関係に疲れた人
にオススメな作品です!
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