こんにちは、てつやまです。
このたび、『Jミステリー2023FALL』を読みました。
《作品情報》
・書名 Jミステリー2023FALL
・著者 東川篤哉、逸木裕、長岡弘樹、似鳥鶏、太田愛、宮内悠介
・編者 光文社文庫編集部
・頁数 327
読み味、色とりどり
これぞ日本ミステリーの醍醐味!
東川篤哉、宮内悠介、長岡弘樹らミステリーで確固たる地位を築く作家から、着実にファンを集める逸木裕、昨年秋号が大好評につき再登板となった太田愛と似鳥鶏まで、大人気ミステリー作家たちの新作書下ろしを収録した贅沢なアンソロジー第4弾。
(株式会社 光文社 商品紹介文より引用)
わくわくする紹介文ですね!
さっそく、読後の感想を語りたいと思います!
1.この本のここが凄い!
変化球から本格的な作風まで読みどりみどり!!
1冊で、何種類もの味わいを与えてくれます!
この本から、その著者のファンにもなれる、導入として最適な本です。
なぜこの本を読んだのか?
東川篤哉、似鳥鶏といった、作品のファンである作家が著者名に並んでいたからです。
2.かんたんあらすじ
6人の大人気ミステリー作家による、書き下ろしアンソロジーミステリー作品。
叙述トリック、どんでん返し。伏線回収にギャグテイストまで!
個性豊かな作家たちの短編ミステリー。
各章のカンタンまとめ
コスプレ居酒屋で働いていた男。
ほろ酔い気分で歩いていると、見知ったゴスロリ風の女の子が歩いているのを発見。
好奇心に負けて尾行しますが、公衆トイレで見失ってしまいます…
そして、翌日、その女の子が遺体で発見されてしまい、男が容疑者に!?
男が尾行に及んだ原因である「魅力的に映った」のはなぜか?
プロ野球チームのスカウトマン・高梨渉。
彼は、フォームの美醜によって、選手の良し悪しを図る特殊なスカウトマンだった。
高梨が目にかけてきた高校生・柵山。
確固たる信頼感があると思っていたが、
どうやら別のチームのスカウトマンが接触していたらしく…
野球の球種のひとつ「スプリット」。
その単語の意味のように、分裂しはじめた高梨と柵山。高梨を避ける柵山の真意とは?
君影草とは、スズランの別名。
小学5年生の教室。
クラスで飼っていたシマリスが死んでしまう。
原因は、スズランの毒。
その後、【スズランの花瓶の水をシマリスに与えていた】クラスのガキ大将が、同じ毒の症状で入院してしまう。
どうやら、ガキ大将の水筒に、誰かが花瓶の水を混入させた模様。
一体だれがそんなことを?
そして、読み進めていく内に、読者は違和感を感じている…
その違和感の正体とは?
気の短い探偵。事件の概要を聞いただけで、すぐ真相にたどり着きます。
そして、容疑者たちの前で推理を披露。
犯人を名指しする!が…【坂田】!?誰その名前!?
せっかちなため、そのまま退場!?
「ちょっと待て!いったい【坂田】とは誰のことだ!?」
探偵の推理によって導き出された犯人【坂田】を、残った刑事たちで推理する!?
「名探偵名前が適当」!その真意は…
いまより昔の日本。成金と揶揄される一族がいました。その一族を襲った悲劇の事件…
現代、その事件を探る記者。
彼は「当時女中として働いていた人物」から話を聞いて、真相に迫っていきます。
昔と今が交錯する、時間を超えた先にある真実とは…
時代由来の事件の背景。ひっくり返る真相。どんでん返しミステリー!
音楽ライターの主人公「ぼく」。
ひょんなことから、とあるバンド内で起った殺人事件を知ります。
その事件とは、音楽スタジオ内で、バンドのマネージャーが、バンドメンバーを殺害した事件。
奇妙なのは、夜10時に殺害された死体とともに、
10時間、レコーディングをしていたバンドメンバーがいたこと!?
なぜ、死体のそばでレコーディングを続けたのか?
その理由、あなたの脳内に刻み込まれるかもしれませんよ?
心に響いたフレーズ
逸木裕「スプリット」より
どうやら自分が感じる美醜は、そのまま選手としての輝きに影響しているらしい
→スカウトマン高梨の特殊能力。
美しい、醜いという美醜の感覚で、「選手の今後の可能性がわかる」という設定は
とても面白いアイデアだと感じました。
「経験により、その選手の特性を判断できる」なら、よくある設定かもしれませんが、
その美醜により判断可能というのは、超能力の範疇なのかもしれません。
長岡弘樹「笑う君影草」より
「せやな、一人分余計だったわけや」
→違和感の正体?そしてラストへ向かう悲しみの行方は…
教師から、バス代として貰った金額についての、とある生徒のセリフ。
読み進めていく内に、
「何かがおかしい…」
そう感じるのですが、その違和感の正体にはなかなか気づくことができませんでした。
その【おかしさの正体】に気づいた時、最初から読み直したくなった作品です。
3.まとめ
読んだことで得られたポイント
タイトルが伏線回収になっていたり、
事件解決しているのに犯人の名前がわからなかったり、
叙述トリック、どんでん返しに挑戦していたり、
とてもバラエティに富んだアンソロジー作品でした。
1冊で何粒も美味しい。
噛めば噛むほど味が出る!
アンソロジーの話から、その著者のファンにもなれる導入として最適な本でした。
再度、各作品のまとめです。
東川篤哉「どうして今夜の彼女は魅力的に映るんだろう」 尾行中に被害者はなぜ消えた?
逸木裕「スプリット」 プロ野球のスカウティングを巡る謎
長岡弘樹「笑う君影草」 違和感の正体?悲しみの行方
似鳥鶏「名探偵名前が適当」 名探偵の推理、名前が適当なのはなぜ?
太田愛「夏を刈る」 一族の事件の真相は?ひっくり返る真実。
宮内悠介「最後のひと仕事」 《最後のひと仕事》とは何のこと?
この作品は
・1冊で何種類のミステリを楽しみたい人
・ミステリ作品の新規開拓をしたい人
・今のミステリの流行に触れたい人
におすすめな一冊です!
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