
こんにちは、てつやまです。
このたび、EDAさんの異世界料理小説
『異世界料理道⑧』を読みました。
《作品情報》
・書名 異世界料理⑧
・著者 EDA
・出版社 株式会社ホビージャパン
・頁数 299
1.この本のここが凄い!
「異世界×料理」というのは、珍しいものではありません。
しかし、本作品が他の料理ファンタジー小説と違うのは、「チート」が全くないこと!
一つ一つ、異世界の食材と、見知った現代の食材を照らし合わせ、試行錯誤で料理していく。
そうして、料理を通じて、人と人の縁を紡ぐところが、ハートフル!
なぜこの本を読んだのか
他作品よりも、リアルに描かれた異世界料理小説だったから読み進めました。
没入しながら読むことができ、主人公とともに成長できる作品。
2.かんたんあらすじ
異世界に迷い込んだ少年が、料理の腕で、森辺の民と呼ばれる狩人の部族たちとの縁を結んでいく話。
8巻は、森辺の三族長と改革編。
心に響いたフレーズ
厨房という空間には、それを使う人間の人柄が強く現れると思う。
アスタのモノローグ。
宿屋《玄翁亭》の主人・ネイルの人柄を、彼が使う厨房から読み取っている場面。
職人同士、その道具や職場を見ただけで、人となりがわかるというのは、通常とは異なるコミュニケーション。
本好きの人同士における、「この本が好きなんて、趣味が合いそうだな」と感じあえるのに似ているのかもしれません。
アイ=ファを失いたくはない。できることなら、何一つ危険な真似などはしてほしくない。だけど、それ以上にー 俺はアイ=ファに、変わってほしくなかったのだ。狩人ではない別の仕事に、アイ=ファが誇りや信念を捧げられるというなら、それはもちろん心から祝福する。だけど、そうでないのならー アイ=ファにとって、狩人として生きることが最高の喜びであり、最高の幸福であるというなら、それを否定するのではなく、それを支え、守る人間でありたいのだ。
アスタのモノローグ。
ダルム=ルウから
「アイ=ファに危険な狩人の仕事を止めさせるべき」
と詰め寄られた後の、アスタの心情。
色恋の話がこの作品で、ここまで直情的に表現されたことに驚きました。
この作品は、「異世界で、料理を通じて縁を紡いでいく」というテーマがありつつ、
「森辺では忌避される女狩人の心までも支える」という重厚なテーマもあり、
読み応え抜群。
主人公のアスタには、考えるべきことがたくさんあって、大変だなと思います。
17歳という若さで、住み慣れた日本から離れ、父親や幼馴染みに会えないという苦悩も当然あるはず。
それらを考える暇がないほどの状況は、もしかしたら、今の異世界を生きることに対しては、プラスに働いているのかもしれないと感じました。
3.まとめ
読んだことで得られたポイント
この8巻では、アイ=ファという女狩人の、死と隣り合わせである状態、
そして、異世界に突発的に迷い込んで、不安定な主人公のアスタ。
そんな両者の関係性が、一気に近づき、強固となりました。
人との縁という力の偉大さを、改めて認識できた巻です。
この本は
・ちょっと変わった恋愛模様を楽しみたい人
・さまざまな人間模様が読みたい人
・ドキドキする小説が読みたい人
におすすめな作品です!
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