『シルバー保育園サンバ!』中澤日菜子/人生はいつからでも再スタートできる!

てつやま
てつやま

こんにちは、てつやまです。

このたび、中澤日菜子さんのハートフル小説

『シルバー保育園サンバ!』を読みました。

《作品情報》

・書名  シルバー保育園サンバ!

・著者  中澤日菜子

・出版社 株式会社小学館

・頁数  253

1.この本のここが凄い!

「年齢を言い訳にしてないか?」

「大切なこと、見落としてないか?」

仕事に追われ、ふと気づけば、人とのつながりが希薄になっている…

そんなあなたに響くハートフル小説!

何歳からでも人生は、やり直せるはず!!

なぜこの本を読んだのか

『シルバー保育園サンバ』という、タイトルの響きの面白さに惹かれ、読んでみました。

2.かんたんあらすじ

主人公・銀治は定年後、妻に離婚され、孤独な日々を過ごしていた。

そんな折、ひょんなことから保育園の雑草取りの仕事に携わり、なぜか保育園の嘱託職員に!?

人付き合いが苦手な銀治は、子どもたちとのふれあいで何を学ぶのか…

心に響いたフレーズ

「……銀治先生。子どもを育てるのって誰の役割だと思われます?」「そりゃあやっぱり母親が」、と言いかけて、さいきんは男も子育てすべきと言われてるんだよな、と思い直し、「……親の仕事でしょう」~「わたしはそうは思いません」~「子どもは社会全体で育てるものだと思います。」

園長と銀治のセリフ。

子供を育てるのは誰かという問題。

母親を神格化して「母親だったら子供を育てきることは当たり前」という風潮があります。

それが、父親も子育てに参加するという現代の流れになりつつあります。

しかし、本書の保育園の園長先生は「もともと子供を育てるのは社会の義務」と言い切ります。

昔は、近所のおじさんおばさん、そして同じく子育て仲間とともに子供を育てていました。

しかし今は、核家族化が進み、そういった地域のつながりというのが希薄になってしまいました。

昔は自然にできていたことが、今は難しい現状…

なので、今の社会において子育てが「孤育て」にならないよう。

国の関与、または一人一人の気持ちをもう一度、確認する必要があるのかもしれないと感じました。

「認めたら大翔はほんとうに『障害者』になってしまう。もう健常児にはけっして戻れない。そう思うと……」

大翔の母親のセリフ。

ふと、「認知症でも同じことが言えるな」と感じました。
これはもの忘れなのか、それとも認知症という症状なのか。

認知症と認めてしまったら、さまざまなデメリットが生じてしまうので認めたくないという気持ち。

保育園児の大翔君に「障害者」というレッテルを貼ることで、今後の人生が生きにくくなってしまうという親心はとてもわかります。

しかし、認めたら障害者になるという考え方は、とても変な感覚だと私は思います。

困りごとがあるので、その子が過ごしやすい環境で生きていく。

その方法は、たとえ普通でなくても、一般的な道でなくても、その子の幸せになるなら、それが自然な流れです。

発達障害の診断を受けた今では、心底そう思います。

私は、診断される前までは、なぜこんなに生きづらいのかということがわからず、とても不安でした。

だからこそ、診断が下りて

「ああ、やっぱりこういう理由があったのか」

と妙に納得がいったことを覚えています。

将来の困難を心配しすぎて、今の困難を疎かにするのは、人間という生き物の性なのかもしれません。

しかし、「今のしんどさ」を軽んじず、対処する考え方が大切なのだと感じました。

六十八年生きてきたが、障害のあるひとはじぶんとはまったく関わり合いのない、別の世界の住人だと思ってきた。だがそれはおおきな間違いだったのかもしれない。同じ時間を生きる『隣人』として、彼らはすぐそばで笑い、泣き、喜び、そして悲しみをともに感じているのだ。銀治は世界がひろびろと広がっていくのを感じる。

68年間という長く生きてきた主人公の銀治。

彼は、発達に障害がある子供と接するなかで、今までなかった感覚に気づきます。

そういった子供たちがいることは知識としては知っていたが、対岸の火事として自分とは関係ないこととして捉えていました。

しかし、実際に接してみて、彼らは自分たちの隣人であり、

一緒にこの世界を生きている人たちなのだということを実感。

そういった人たちを知って、付き合っていこうと覚悟したその時に、

彼の価値観は大きく変わり、視野もとても広がりました。

人生の醍醐味、喜びというものは、そういう瞬間に訪れるのかもしれないと思いました。

3.まとめ

読んだことで得られたポイント

自閉症の園児・大翔くんとの関わりを通して、障害に対する偏見や無理解に気づく銀治。

私自身、広汎性発達障害と診断され、大多数から見たら障害を持った人と思われているでしょう。

しかし、そんな「ありきたりなくくり」をしている自分自身もまた、“知らなかった側”であったことを痛感しました。

また、「障害のある人も自分の“隣人”である」と気づいた銀治の変化の場面では、視野が広がる感覚、そして誰かと関わることの意味を、改めて考えさせてくれました。

この本は

・家事や仕事に追われている人

・人付き合いが減ったことに悩む人

・元気をもらいたい人

におすすめな作品です!

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