
こんにちは、てつやまです。
今日紹介する1冊はこちら
『「心のない人」は、どうやって人の心を理解しているか』横道誠

☆こんな人にオススメ!!
・自閉スペクトラム症当事者の人
・「人の気持ちが分からない」と悩む人
・自閉スペクトラム症当事者の話を聞きたい人

本書は、自閉スペクトラム症などの発達障害を持つ7人の方々へのインタビューを通じて、「人の心をどう理解するか」を探る内容です。
著者・横道誠さんは、創作物(マンガ、小説、映画など)が心の理解に役立つのではないかという仮説を立て、当事者の声を紹介しています。

なんでこの本を読んだの?

横道誠さんの本が面白かったので、今回の本にも興味を引かれました。
「発達障害者が心を知るために 創作物の影響を受けているか」
というテーマに興味を持ち 読んでみました。
本の内容で大事な3つのポイント
① 「創作物」から気持ちを理解しているという仮説
② 共感のズレは「お互い様」
③ 社会の「こうあるべき」からの解放
一つずつ解説していきます!
① 「創作物」から気持ちを理解しているという仮説
発達障害の私にとって、マンガや小説は“心の教科書”
『「心のない人」は、どうやって人の心を理解しているか』というタイトルは、とても挑発的であり、そして深い問いをです。
著者・横道誠さんは、自閉スペクトラム症などの発達障害を持つ人々が、
マンガや小説、映画などの創作物を通じて人の気持ちを理解しようとしているのではないか
という仮説を立てました。
本書では、その仮説をもとに、7人の当事者にインタビューを行い、
彼らがどのように“心”と向き合ってきたかを探っています。
この仮説は、私自身にも当てはまるのではないかと、強く共感を覚えました。
発達障害の当事者として、私も人の気持ちを理解するのが難しいと感じることがあります。
けれど、物語の中で登場人物が怒ったり、泣いたり、喜んだりする様子を見て、
「こういう時に人はこう感じるのかもしれない」
と学ぶことができました。
創作物は、私にとって“心の教科書”のような存在だったのではないかと感じています。
物語との距離感は人それぞれ
本書に登場する当事者の中には、創作物から多くを学んだと語る人もいれば、そうした見方に懐疑的な人もいます。
たとえば、ぽん子さんは「本音と建前の使い分けが苦手」と語り、
物語の中で描かれる複雑な人間関係に戸惑いを感じていたようです。
一方で、八坂さんは「支援者タイプに憧れる」と語り、
創作物の中の人物像に自分の理想を重ねていました。
このように、創作物との向き合い方は人それぞれであり、そこに正解はありません。
けれど、創作物が人の心を理解する手がかりになる可能性があるという視点は、私にとって非常に希望を感じさせるものでした。
人の心を知る方法はひとつではなく、物語の中にこそ、私たちが探している“感情”があるのかもしれないという可能性を示している。
それだけで、私にとっては将来の展望が少し、明るくなった気がします。
② 共感のズレは「お互い様」
“わかり合えない”は片側のせいじゃない
本書の中で特に印象的だったのは、「共感のズレはお互い様」という考え方です。
自閉スペクトラム症の人は、よく「他人の気持ちがわからない」と言われがちですが、
実は定型発達の人も、発達障害者の気持ちを理解できていないことが多いのです。
これは、デイミアン・ミルトンが提唱した「ダブル・エンパシー・プロブレム(二重の共感問題)」という概念にも通じます。
定型発達者同士、自閉スペクトラム症者同士では共感が成立するのに、それぞれ両者の間ではすれ違いが起きる…
それは、どちらかが劣っているからではなく、文化や認知の違いによるもの。
この視点は、私にとってとても新鮮なものでした。
私自身、定型発達の人の気持ちがわからずに戸惑うことが多くあります。
しかしそれは、「私だけが悪い」わけではなく、お互いが「違うだけ」なのだと、受け止めることができました。
空気を読めないんじゃなくて、心の動き方が「別ルート」なだけ。
たとえば、本書で紹介された八坂さんには、高校時代に友人にラーメンをかけてしまったという出来事がありました。
その際、「体は自分で拭くだろう」と判断して床の掃除を優先、その結果友人から激怒されたというエピソードです。
これを聞いたとき、私は「わかる!」と強く共感しました。
私も、場の空気よりも論理的な判断を優先してしまい、結果的に相手を傷つけてしまった経験があります。
けれど、それは「心がない」からではなく、「心の動き方が違う」だけなのです。
八坂さんの友人は、「悪いと思うならまず私の体から拭くはず」という動きに対し、
八坂さんは、「この状態で後回しにされがちな床の掃除は自分が担当しよう」となっていたのではと推測しました。
このようなすれ違いは、誰かが悪いというわけではありません。
むしろ、違いを前提にした「異文化交流」として捉えられれば、共感の可能性は広がるのではないかと感じました。
③ 社会の「こうあるべき」からの解放
余白がほしい社会の話
本書の中で繰り返し語られるのが、「こうあるべき」という社会の圧力に苦しむ声です。
特に印象的だったのは、まるむしさんの
「日本社会に望むことは、『こうあるべき』の重圧がなくなってほしい」
という言葉でした。
社会に対して「こうして欲しい」ではなく、「しないで欲しい」という考え方にはとても共感できます。
私自身も、「こうすべき」「こう振る舞うべき」という思考に縛られて苦しくなることが多々あります。
そのせいで、「普通」「当然」「みんなしている」という意見に、過剰に拒絶反応が出てしまっていました。
横道誠さんは、自己啓発本にありがちな「自分を変えれば人生は変わる」という考え方に疑問を投げかけています。
すでに病気や障害で苦しんでいる人に、「もっと努力しろ」「自分を変えろ」と言うのは、さらに追い詰めることになりかねません。
むしろ、変えるべきは“自分”ではなく“環境”であるという視点は、私にとっても非常に大切なものでした。
“こうあるべき”より、“ちょうどいい支援”!
たとえば、支援のあり方についても、
「こちらが求めた以上でも以下でもない支援をしてほしい」
というまるむしさんの言葉が印象的でした。
過剰な支援も、足りない支援も、当事者にとっては負担になることがあります。
だからこそ、「ちょうどいい支援」を目指すことが、社会のあり方として求められているのだと感じました。
また、ポン子さんが語った「本音と建前の使い分けが苦手」という話も、社会の“べき思考”の象徴のようだと思います。
私も、表向きの言葉と本心が食い違う場面に、居心地の悪さを感じることがあります。
そんな文化に馴染めない自分を責めるのではなく、「そういう文化もある」と受け止めることで、少しだけ生きやすくなるのかもしれません。
この本は、「こうあるべき」という枠組みから自由になるためのヒントを与えてくれます。
そして、発達障害の人だけでなく、すべての人にとって「自分らしく生きるとは何か」を考えるきっかけになるのではないでしょうか。
まとめ
繰り返しとなりますが、本書のポイント
① 「創作物」から気持ちを理解しているという仮説
② 共感のズレは「お互い様」
③ 社会の「こうあるべき」からの解放
『「心のない人」は、どうやって人の心を理解しているか』は、発達障害の当事者7人の声を通じて、「心とは何か」「共感とは何か」「生きづらさとは何か」を問い直す一冊です。
創作物から心を学ぶという仮説、共感のズレを「お互い様」と捉える視点、そして「こうあるべき」からの解放
──これらのテーマは、私自身の経験とも深く重なり、読むたびに心が揺さぶられる思いでした。
この本を読んで感じたのは、発達障害も定型発達も、単なる違いであり、そこに「断崖絶壁のような隔たり」はない、ということ。
発達障害の人も、定型発達の人も、それぞれの“心のかたち”を持っています。
その違いを否定するのではなく、理解しようとする姿勢が、社会を少しずつ優しくしていくのではないでしょうか。
この本は、そんな希望を感じさせてくれる一冊でした。
※2024年12月7日初版出版の本書に掲載
- HOTASさん(50代前半)診断:自閉スペクトラム症
- まるむしさん(50歳)診断:うつ病(背景にADHD、自閉スペクトラム症)
- ナナトエリさん(40代前半)診断:ADHD、自閉スペクトラム症、算数の限局性学習症
- ヨシさん(30代後半)診断:自閉スペクトラム症(ADHDも含むと自認)
- ぽん子さん(30代前半)診断:自閉スペクトラム症
- 八坂さん(30代前半)診断:ADHD、自閉スペクトラム症
- リナさん(29歳)診断:ADHD、自閉スペクトラム症(発達性協調運動症も含むと自認)
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